新型コロナウイルスの重症化傾向

更新日2022.08.25

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新型コロナウイルス感染症COVID-19)は、誰にでも感染リスクがあり、特に基礎疾患や呼吸器疾患がある人の重症化率が高いことが明らかになっております。

年齢別では高齢者が高く、若者は低い傾向にあります。重症化する割合や死亡する割合は、2020年の新型コロナウイルス感染症流行の第一波の頃と比べて低下してはおりますが、自宅療養中に悪化して亡くなるケースもあるなど未だ予断を許さない状況が続いております。

ここでは臨床状態による症状別の分類と、重症化しやすい傾向をまとめております。

臨床状態による症状別の分類
臨床状態による症状別の分類

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、誰もが入院する状態になるとは限りません。

陽性と診断された患者の中には、人工呼吸器が必要となる重症な患者がいる一方で、症状が全く表面化しない無症状患者もおります。

以下は、症状別に診療ポイントをまとめたものです。

重症度 臨床状態 診療ポイント
軽症 ▪呼吸器症状はない
▪咳はあるが息切れはない
◈多くの人は自然軽快するが急速に病状が進行してしまうこともある
◈リスク因子と呼ばれる呼吸器に疾患のある人や低酸素血症のある人は入院とする
中等症Ⅰ
(呼吸器不全なし)
▪息が切れる
▪肺炎所見が見られる
◈入院した上で慎重に観察する
◈低酸素血症があっても呼吸困難を訴えないことがある
◈患者の不安に対処することも重要
中等症Ⅱ
(呼吸器不全あり)
▪呼吸不全で酸素投与が必要な状態 ◈濃度の高い酸素を投与する
◈血栓ができるのを防ぐ治療を行う
◈高度な医療を行える施設へ転院を検討する
◈ネーザルハイフローやCPAPなどの使用をできるだけ避けてエアロゾル発生を抑制する
重症 ICUに入室か人工呼吸器が必要な状態 ◈人工呼吸器管理に基づく重症肺炎の分類を確認する
◈L型(比較的軽症)…肺はやわらかく、換気量が増加
◈H型(重症)…肺水腫でECMO(エクモ)の導入を検討する

※ネーザルハイフロー…鼻から高流量(30L~60L/分)で高い精度の酸素を投与できる新しい呼吸療法のこと
※CPAP…気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法のこと
※ECMO(エクモ)…血液を管で体外に導き出して酸素を供給する人工心肺装置のこと

参考:新型コロナウイルス感染症COVID-19 診療の手引き 第2版より

重症も肺炎の重さに応じて2段階に分けられております。
特に肺の機能が弱まり「重篤」となる場合は、ECMO(エクモ)の使用を余儀なくされます。

※情報は作成日時点の情報です。最新の情報は厚生労働省、国立感染症研究所等のホームページから得るようにしてください。

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重症化しやすい傾向
重症化しやすい傾向

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で最も懸念されるのは、無症状の感染者と健常者の見分けがつかないことです。

感染者を見分ける方法としてPCR検査があります。PCR検査キットは、各企業により精度は異なりますが、概ね90%よりも高い精度であると言われております。

しかしわずかではありますが、感染していた場合でも陰性と判定されることがあり、偽陰性として健常者の中に感染者が混在することもあります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンがまもなく供給される予定ですが、治療薬が確立されるまではまだ時間がかかると言われており、常に感染と重症化の不安に襲われてしまうことになります。

重症化しやすい傾向2

米国疾病予防管理センター(CDC)の報告では、集中治療室(ICU)に入った患者の78%に基礎疾患や呼吸器疾患があったことが明らかにされております。

専門家の見解では、非喫煙者より喫煙者の方が重症化するリスクが高いとも警告しております。

他にも英国内での複数の調査で分かったことは、肥満の人ほど重症化するリスクが高い傾向にあることです。
肥満の程度(BMI)が重いとされる人は、それ以外の人に比べ3割以上死亡するリスクが高まると分析しております。

高齢者の重症化も問題視されております。
加齢とともに心肺機能や免疫力は低下するため、ウイルスに感染しやすく重症化のリスクは常に念頭に入れておく必要があります。

☞ POINT

☑ 基礎疾患や呼吸器疾患がある人は重症化するリスクが高い

☑ 喫煙者は重症化するリスクが高い

☑ 肥満の人は重症化するリスクが高い傾向にある

☑ 高齢者は感染リスクが高く重症化するリスクがある

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