2021年4月に介護保険法が改訂されました。定期的に改正される介護保険法ですが、その背景には要介護(要支援)認定者数が増え続けていることや、私たちの平均寿命が延びて老後が長くなったことが挙げられます。
その一方で高齢化や少子化、共働き世帯の増加など、環境の変化により死亡保障から生きる保障へと求められるものが変わってきております。
ここでは、これから介護保険を考えている方だけでなく、保険を見直そうと考えている方にも介護保険の紹介と選び方について説明しております。
公的介護保険は、平成12年(2000年)より制度が導入され、介護や支援が必要となった場合に、費用の一部(原則10%)を支払うことで介護サービスを利用することができます。
公的介護保険の加入に特別な手続きは必要ありません。40~64歳まで健康保険の一部として納められます。
また年金支給年齢(65歳)になりますと、健康保険とは切り離されて介護保険料という名目で支払うことになります。年金を受給している場合は、基本的に特別徴収(天引き)での支払いになります。
公的介護保険を利用するには、要介護(要支援)状態に該当する場合に限られます。現金支給はなく、所得によって決められた1~3割の自己負担で介護サービス利用ができます。
民間介護保険は、保険会社ごとに定められた所定の要介護(要支援)状態に該当した場合の費用負担を保障します。
民間介護保険の保険金の給付の条件は、加入する保険会社により異なります。
また受け取り方法は、保険金を一括で受け取れる場合と毎年一定額の年金を受け取れる場合があります。
民間介護保険に加入する目的は、主に介護で発生する金銭的な負担を緩和させるため、働けているうちから積み立てておく方が多いようです。
さらに民間の介護保険は、介護医療保険契約に分類されるため、生命保険料控除により税金の負担を軽減できることがあります。
民間介護保険には、保険会社ごとに様々な特徴を持つ商品が用意されております。
以下は、各生命保険会社の介護保険の特徴です。
※契約内容は各社のページをご確認ください
■ 介護のささえ【明治安田生命】
商品概要 | 要介護状態に該当したときの一時金・終身年金や万一の保障を生涯にわたり準備できる保険。 |
特徴 | ・公的介護保険制度の要介護3以上などの所定の要介護状態に該当した場合、一生涯にわたり介護終身年金が支払われる。 ・介護終身年金保障保険(主契約)の死亡給付金の型には、5倍型(介護終身年金年額の5倍)と1倍型(介護終身年金年額と同額)がある。 ・特約を付加することで、より充実した介護保障が準備できる。 |
■ 1UP Vitality【住友生命】
商品概要 | リスクを減らし、リスクに備える保険。 |
特徴 | ・健康増進への取組みを応援する各種特典が受けられる。 ・健康増進への取組みに応じて保険料が変動する。 ・生活に潜む様々なリスクに充実の保障で備えられる。 |
■ アンドライフ【三井住友海上あいおい生命】
商品概要 | 認知症リスクにも手厚く備えることができる保険。 |
特徴 | ・公的介護保険制度に定める要介護2以上の状態に該当していると認定されたとき、年金・一時金が受け取れる。 ・認知症一時金給付特則を付加することにより、認知症に対して一時金で備えることができる。 ・終身保険のため、介護や認知症、死亡に関する保障が一生涯続き、保険料は上がることがない。 |
■ リビング・ベネフィット20【ソニー生命】
商品概要 | 死亡保障に加え、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)、所定の障害・要介護の状態など就業不能になり得るリスクに対する、一生涯の保障を準備できる終身保険。 |
特徴 | ・不慮の事故により所定の身体障害の状態の場合は、以後の保険料の払い込みが不要になる。 ・ご契約の保険金額が所定の額以上の場合、保険料の高額割引制度が適用される。 ・配当金はなく、いずれかの保険金が支払われた場合、保険契約は消滅し以後の保障はなくなる。 |
■ 終身型と定期型
終身型の介護保険は、一生涯の保障を得ることができ、給付条件に該当した場合に給付金を受け取ることができます。
定期型の介護保険は、保障期間が決められているタイプと、一定年齢に達するまで保障となるタイプがあります。
■ 貯蓄型と掛け捨て型
貯蓄型の介護保険は、死亡保険や年金保険が付加されている場合、介護に関する保障だけでなく、死亡や高度障害状態の場合などに保険金や年金を受け取ることができます。
保険会社により異なりますが、中途解約をしたときも解約返戻金が受け取れることがあります。
掛け捨て型の介護保険は、満期保険金や年金といった貯蓄部分を抑えることで少ない保険料で介護保障を得ることができます。
別途生命保険に加入されている方は、こちらの掛け捨て型を選ばれる方が多いようです。
■ 受け取り方法
民間介護保険は公的介護保険とは異なり、給付金としてご自身が受け取ることができます。
受け取り方法は、以下の3通りがあります。
- 一時金として受け取る
- 一度にまとまったお金が受け取れるため、介護の初期費用や施設等の入居費用に充てることができます。
- 年金として受け取る
- 長期化する介護生活に対応しやすいため、一時金で受け取るよりも受取金総額が多くなることがあります。
- 一時金と年金の併用で受け取る
- まとまった出費や毎月の介護費のどちらにも対応できるメリットはありますが、保険料は割高になる傾向があります。
■ 給付の条件
給付の条件は保険会社ごとに細かく分けられておりますが、大きく以下の2通りがあります。
● 公的介護保険に連動しているもの
● 保険会社独自の判断基準のもの
公的介護保険に連動しているものは、給付金の支給要件が要介護1から5までの区分に連動しているためわかりやすい仕組みですが、要介護認定を受けなければ受給できないことがあります。
保険会社独自の判断基準のものは、保険会社が定めた基準に該当しなければ受給することができません。しかし、要介護認定を受けられなくても支給される見込みもあるため、給付の条件はよく理解しておく必要があります。
日本の介護保険は、一般的に終身型が主流となっており、公的介護保険でカバーできない項目を民間介護保険の加入で補う方も少なくありません。
最近の介護保険は、給付条件が緩和した商品や認知症を対象とした商品など多様化してきております。
多様化しているからこそ、自分に合った保険を見極めることが最も大切なことであると言えます。
民間介護保険は、保険料が日常生活の負担になってしまうことや、給付条件を満たせないことがないように考えなければなりません。