厚生労働省の調査によると、要介護3以上の待機者は全国に29.2万人(2019年4月時点)いると言います。
3年前の調査から比較すると待機者は3,000人弱減少しており、年々高齢化が進むことを踏まえれば需要と供給に大きな変化がないように見えます。
特別養護老人ホームに関する入居ルールは、2015年4月に要介護3以上に限定したことで待機者数は減少したものの、いまだに30万人近い方が施設に入れないことが現状です。
特別養護老人ホームは入居者が亡くなるまで利用することができるため、入居者だけでなく周りのご家族にも大変人気があります。
また公的な施設ということもあり、他の高齢者施設に比べて費用負担がやや少なくて済むことも人気の理由です。
さらに課税金額などに応じて補助金や助成制度を受けることができることも大きいでしょう。
入所するにはいくつか要件を満たさなければなりませんが、待ってでも入りたいという方が多いのは必然と言えるでしょう。
- 65歳以上で要介護3以上の方
- 中~重度の要介護高齢者が優先的に入居
- 居宅介護においてやむを得ない事情があり日常生活を営むことが困難な方
- 40歳~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方
など
※詳細については公共の施設や各市区町村の福祉課などにご相談ください
介護施設数は地方より都市部に集中していることが多く、施設数も増加しており次第に入所しやすくなっている状況であると言えます。しかし現状の待機者数が解消されているとは言えず、多くの方が入居待ちの状態です。
2020年に向けて特別養護老人ホームの施設数は増加しましたが、場所により職員不足であったり待機者数の違いであったり施設ごとの格差が生じているところがあり、入居待ちになる理由のひとつです。
また特別養護老人ホーム側の医療体制についても入居待ちになる理由があります。
中重度の要介護者が必要な医療的ケアの処置は、多くの施設で対応が可能ですが、専門スキルを求められる医療的ケア(レスピレータ管理や気管切開など)が必要になることを考えると受け入れることは容易ではありません。
このような医療的ケアが必要な方が入居待ちになることも珍しくありません。
施設ごとの格差改善とともに医療体制を整えていかなければ、待機者数が微減の状況でも、解消される頃はまだ先のことになりそうです。