平成27(2015)年には「ベビーブーム世代」が、前期高齢者(65~74歳)に到達し、その10年後には高齢者人口は、約 3,500万人に達すると推計されています。
これまでの高齢化問題は、高齢化の進展の「速さ」の問題でしたが、平成27(2015)年以降は、高齢化率の「高さ」(=高齢者数の多さ)が問題となります。
2016年9月に総務省が、日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が、過去最高の26.7%となったことを伝えました。
現在の日本においては「4人に1人が高齢者」という計算になります。
下の表は、世界の高齢化率(高齢者人口比率) および、合計特殊出生率の国際ランキングです。
医療の発達などで平均寿命が伸びたことから、高齢化は世界各地で起きています。
超高齢社会がもたらす課題として、総務省では働き手の主力とされる15歳以上65歳未満の「生産年齢人口」の減少や、介護負担の増大などをあげていますが、これは「働きながら家族の介護をする人」が増加することも意味しています。
日本では現在、介護職に従事している人数は、およそ100万人と言われています。2020年ごろには約250万人もの介護職従事者が必要になると言われています。
昨今、介護職の労働環境が見直されていますが、世界の介護事情はどうなっているのでしょうか?
✓介護にかかる費用の1割の自己負担で済む
✓サービス事業所が多数あるので、自分が気に入ったところを選択できる
✓介護保険の場合は民事上の損害賠償請求までできる
✓福祉ミックスや、ボランティアといったNPO雇用者数が多い
✓不法外国人労働者が問題となっている
✓介護施設の料金が高い
✓介護保険は、基本的には重度の介護者の方を対象としている
✓保険給付額が少ないことから、自宅で介護をする人が多い
✓在宅介護が主流であり、老人が安心して介護サービスを受けられるような環境が整っている
✓作業療法や理学療法により、自立した生活を送れるようなサポートがある
✓住宅内を高齢者が暮らしやすくするための住宅改造資金手当が支給される
✓高齢者用の施設が多数あり、国が経営しているものから民間のものまで幅広くある
✓施設に入居する際には支払い能力の無い人に対して手当が与えられることがある
✓介護職の国家資格として社会生活介護士と医療系介護士がある
✓自宅で介護を受けている人に対するサービスが充実している
✓高齢者が住宅で満足できる生活を送れることを国や市が保証している
✓高齢化対策のモデル国として注目されている
✓重度の介護者に限定されるが、国から介護給付を受けられる
✓在宅ケアをサポートするためのサービスが充実している
✓施設での介護ケアはそれほど重視されていない
✓介護施設には、運動施設やリハビリ施設が併設されていることもある
✓要介護度が低い方には、在宅ケアをするための支援もある
✓移民を積極的に受け入れている国であり、海外からの移民者が介護職に就職しやすい
✓一つの施設内に様々な介護ステージ用の施設が併設されている
✓介護関連の仕事をしている人の給料が高めである
✓介護やリハビリに関しては保障を受けることがほとんど期待できない
海外における介護サービスは主に重度者を対象としたサービスです。
日本は、軽度者向けのサービス制度もあり、介護サービスは、諸外国に比べ、充実していると言えるでしょう。
日本の介護サービスや制度は、世界から見ても評価は高いでしょう。しかし、日本国内での満足度を考えると決して良いわけではなく、このままでは介護サービスにも悪影響が出てしまいます。
課題の多い介護事業ですが、雇用・労働環境の向上、施設の敷居を見直すなど、取り組まねばならないことがたくさんあります。
高齢化社会に向けて働きやすい環境作りをし、高齢者が尊厳を保ちながら暮らし続けることができる社会の実現を目指さなければなりません。