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認知症をもたらす病気と間違えやすい4つの病気

更新日2022.08.25

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認知症とは、何らかの病気を原因にして、記憶したり、理解・判断したり、その他認識する力が障害を受け、日常生活に支障をきたすようになった状態のことです。

超高齢社会を迎えている日本において、80歳代では全体の2割、90歳代では全体の3割が、認知症であると診断されております。
介護をしていく上では、要介護や寝たきり状態を防ぐことに限らず、認知症をどう予防していくかも重要なポイントです。

目次
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医療従事者でも認知症の診断は難しい
医療従事者でも認知症の診断は難しい

認知症は、診断を下すのが非常に難しい症状と言われております。
人の認知機能は、50歳頃から低下すると言われており、一般的には、記憶力と判断力から低下すると言われております。

人間の脳は、年を重ねるごとに徐々に委縮していき、記憶力や判断力に影響を及ぼすようになります。
医療従事者が認知症の診断を難しくしている理由は、脳の萎縮が平均より進行している場合でも、記憶力や判断力が衰えず、認知症状が現れない人もいるからです。

  • <介護保険法における認知症の定義>
  • 脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態
認知症をもたらすそれぞれの病気の特徴

■ アルツハイマー病

アルツハイマー病

日本において、認知症を引き起こす原因のうち、もっとも割合の多い病気がアルツハイマー病です。

アルツハイマー病は、記憶や思考能力の誤認識がゆるやかに進行していき、近時記憶の障害が見られ、日常生活に支障を来してしまう病気です。

アルツハイマー病の特徴は、男性に比べて女性に多い病気であることです。また、妄想や徘徊などの症状が出ることもあります。

アルツハイマー病の原因は、アミロイドβという蛋白質が脳内にたまり、神経細胞が減少し、脳を委縮させてしまうためと考えられています。

■ 脳血管性認知症

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳の血管障害でおきる脳梗塞や脳出血によって起こる認知症です。

脳血管性認知症の特徴は、認知機能障害が突然現れたり、落ち着いたかと思われていても、急に悪化したりすることを繰り返すことです。

脳血管障害を罹ったことがある方や、高血圧、糖尿病、心疾患など脳血管障害の危険因子を持っている方に多く見られます。

■ レビー小体型認知症

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、大脳皮質の神経細胞内に、レビー小体である特殊なタンパク質が付着し、神経細胞が減少することで引き起こされる認知症です。

レビー小体型認知症の特徴は、アルツハイマー型認知症に次いで患者数が多く、特に男性に多く見られることです。症状が進行した場合には、幻覚症状や身体硬直が見られ、転倒の危険性が高まります。

レビー小体型認知症の原因は、レビー小体が脳にたまり、脳が委縮してしまうことです。脳の萎縮は、主に加齢が原因ですが、アルコールを多く摂取している方にも多く見られます。

認知症と間違えやすい4つの病気

医療従事者でも診断が難しい認知症ですが、認知症と間違えやすい主な病気が、うつ病・てんかん・正常圧水頭症・慢性硬膜下血腫です。

それぞれの特徴は以下の通りです。

●うつ病

高齢者のうつ病は、何かに取り組む意欲や集中力が低下したり、気持ちが大きく動くことが少なかったりする特徴があります。
物忘れといった記憶力低下も多いため、医療従事者は、認知症と誤診してしまうこともあります。

特に65~75歳の高齢者に傾向が見られるほか、女性に多いことも挙げられます。
常に病気を患っている方や、離婚や死別を経験された方など、ネガティブになりやすい環境下であるほどうつ病になりやすいと言われております。

●てんかん

てんかんは、身体を突っ張らせて痙攣発作をイメージしてしまい、子どもに多い病気と思われております。
しかし、高齢者の1~2%はてんかんを患った方であるという報告もされており、決して少なくない病気です。

高齢者の場合は、痙攣を伴わない発作が多いため、てんかんだと気づかれない場合もあります。
痙攣を伴わない発作は、一時的に意識を失ったり、目の焦点が合わずにぼんやりしたり、発作の間の記憶がなかったりするいことが多いため、認知症の症状と間違われやすいと言われております。

●正常圧水頭症

正常圧水頭症は、脳に髄液がたまりすぎることが原因で起こります。

髄液が脳を圧迫することで、徐々に認知症のような症状が現れます。脳への損傷から、身体的な障害や集中力の低下が見られるようになります。

正常圧水頭症は、手術で髄液を正常に流すことで、脳の圧迫が解消され、認知症の症状が改善されることがあります。

●慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫は、頭部外傷によって脳内の血管が切れ、脳に徐々に血がたまることで起こります。
一般的には高齢者に多く、飲酒の量が多い方や、高血圧や血液が止まりにくくなる薬を服用されている方は、リスクが高くなります。軽い頭部への打撲が、引き金となる場合があります。

症状は、時間や場所がわからなくなる見当識障害、注意力の低下、判断能力の欠如、簡単な計算ができなくなるなどが見られます。
非常に進行が遅く、頭痛や吐き気を伴うこともあり、症状が現れることが遅いため、認知症と間違われやすいと言われております。

慢性硬膜下血腫は、手術で血腫を取り除くことで、症状が改善されることがあります。

認知症の介護・ケアのポイント

■ アイコンタクト

アイコンタクト

「目は口ほどにものを言う」と言いますが、相手に何かを伝えたい場合には、話す内容よりも、表情や口調のほうが、強く印象に残ると言われております。

認知症の人は、認識できる視野の範囲が狭くなったり、認知機能の低下で介護する人を認識できなかったりすることがあるため、相手の正面に入り、目を見てしっかり伝えることが重要です。

これを意識的に行うことで、認知症の方とスムーズに意思疎通が取れるようになると言われております。
認知症の人の視線をしっかりとつかみ、 意思疎通をはかることが大切です。

アイコンタクトで気をつけたい点は、以下の2つです。

  • 認知症の方から距離を取り、正面から近づいていくことです。
  • 横から近づく場合は、視野が狭く認識できないこともあり、相手を驚かせて混乱させてしまう恐れがあります。
  • 正面から目の高さを合わせて相手と視線を合わせることです。
  • 視線が合ったら、笑顔で話しかけるようにしましょう。無表情や沈黙は恐怖心をあおってしまいます。

■ ユマニチュード

ユマニチュード

アイコンタクトを重視する介護法のひとつに、ユマニチュードがあります。

ユマニチュードは、「人間らしさを取り戻す」という意味の造語です。

ユマニチュードは、認知症をはじめ、あらゆる介護の場面で活かすことができる技法です。

また、ユマニチュードでの実践方法でも紹介しておりますが、認知症の方へのタッチケアも効果的です。

タッチケアは、赤ちゃんと親の心と体のふれあいによる親子の絆を深めることをコンセプトとしたものです。
親しい人が、認知症の方を触れることで、情緒が安定し穏やかな気持ちになり、良い影響を与えます。

まとめ
まとめ

認知症は早期発見、早期治療が重要ですが、家族では理解されていても、本人が理解できていない場合があります。
特に家族の距離感や戸惑いは、重苦しい雰囲気を作り出してしまいます。

認知症とすぐに決めつけるのではなく、まずは認知症と間違えやすい病気かどうかを判断することから始めると良いでしょう。

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