聴覚障害者のコミュニケーションには、おもに手話が用いられています。手話を用いて日常会話にとどまらず、さまざまな専門分野に関する会話をすることもできます。手話通訳者は聴覚障害者と健常者の仲介役として、話し言葉と手話をわかりやすく置き換え、伝達する役割を担っています。
行政機関や民間企業、病院などの各施設に勤めながら必要なときに通訳をしたり、 「手話通訳士」の資格取得者としてボランティアセンターや手話派遣協会などに登録し、派遣要請を受けて出張していくのが一般的な働き方です。派遣要請の内容は、聴覚障害者の各種相談・指導の仲介や、外出の付き添いが主です。
●手話技能検定
2001年よりスタートした資格で、初心者から手話を実際の業務で使っている者まで、その技能レベルを判定することができる資格です。試験には1~7級、準1級・準2級の9種類あり、5・6・7級は初心者向け、3・4級は各種窓口での対応が可能なレベル、2・準2級は各分野の専門的な会話ができるレベルに相当します。 1・準1級取得者は聴覚障害者と同等の技術があると評価され、手話通訳やインストラクターを目指すことができます。
取得方法 | 手話技能検定協会の試験に合格する必要があります。通常試験が年5回、この他集団受験や在宅試験があります。7級は在宅受験で、それ以外は各地の会場で筆記試験が行われます。1・2級は実技試験となります。 |
受講資格 | 1級:準1級合格者 準1級:2級合格者 2級:準2級合格者 準2級~7級:特になし |
試験内容 | 7級:動きのない指文字の読み取り試験 3~6級:ビデオを見て手話を読み取る試験 準1・準2級:ビデオを見て手話を読み取る筆記試験 1・2級:ディスカッションや課題文の表現による実技試験 |
学習方法 | 各スクールで開催されている講座を受講し、必要な知識と技術を習得していきます。 |
受験料 | 1級(実技試験) 11,000円 準1級(筆記+書き取り) 9,000円 2級(実技試験) 8,250円 準2級(筆記+書き取り) 6,150円 3級 5,650円 4級 5,150円 5級 4,650円 6級 3,600円 7級 1,750円 |
問合せ先 | NPO手話技能検定協会 〒103-0024 東京都中央区日本橋小舟町6-13 日本橋小舟町ビル 5F http://www.shuwaken.org/ |
●手話通訳士
通訳では、話し言葉と手話の内容を的確に理解し、わかりやすくまとめなおすことが求められるため、公正な判断能力や高い国語能力、豊富な知識が必要になります。これらの能力を持っていることを証明するのが「手話通訳士」の資格で、公共施設や自治体、民間企業などさまざまな場面でのニーズが高まりつつあります。
取得方法 | 聴力障害者情報文化センターが実施する手話通訳士認定試験を受験し、取得します。 |
受講資格 | 20歳(受験日の属する年度末までに20歳に達する者を含む)以上 |
試験内容 | ●学科試験(一次試験) 【1】障害者福祉の基礎知識 【2】聴覚障害者に関する基礎知識 【3】手話通訳のあり方 【4】国語 ●実技試験(二次試験) 【1】聞取り通訳(音声による出題を手話で解答) 【2】読取り通訳(手話による出題を音声で解答) |
試験日程 | 学科(一次)試験:10月初旬~中旬の日曜日 実技(二次)試験:学科試験の翌日 ※平成19年度から学科試験に引き続き、翌日の実技試験も併せて受験することになります。 |
学習方法 | 3年程度の実務期間では学科試験の合格が難しいので、 国立身体障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科で学ぶのが一般的です。 【国立身体障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科】 〒359-8555 埼玉県所沢市並木4丁目1番地 http://www.rehab.go.jp/ |
受験料 | 18,000円 |
問合せ先 | 社会福祉法人聴力障害者情報文化センター手話試験部 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-23-1 新宿マルネビル http://www.jyoubun-center.or.jp/ |